相続放棄はどんなときにするの?

相続放棄とは、本来自分が相続する権利があるのにそれを放棄し、最初から相続人ではなかったことにする手続きです。
相続人の間で放棄する旨を宣言するだけでは足りず、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出して、受理されなければなりません。
相続で労力なくして財産を受け取れるといえば、誰もが喜びそうなはずですが、どうしてこのような手続きがあるのでしょうか。
どんなときに利用されているかといえば、たとえば、故人が多額の借金を抱えて死亡した場合が考えられます。
相続が発生すると、相続人は被相続人の権利義務をすべて包括的に承継します。つまり、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も承継します。
そのため、プラスの財産が不足していれば、相続人のお金で借金を返済しなければなりません。この負担を避けるため、相続放棄をするケースがあるのです。
相続財産が結局プラスなのかマイナスなのかは、遺産を調査してみなければわかりません。不動産などは、不動産鑑定士による鑑定をしてもらったり、不動産仲介の会社で、近隣の不動産の売買価格を元に価格査定をしてもらえば、大体の価値がわかります。
問題は、存在するかどうかもはっきりしない預貯金です。預貯金の存在は、同居している親族でもなかなかすべてを把握していなかったりすることが多いものです。一人暮らしの方などの場合には、全く分からないという場合もあるでしょう。これを調べる場合には、弁護士会照会(弁護士法23条の2)という方法があります。弁護士に依頼して、所属する弁護士会を通じて金融機関に照会を行うのです。ただし、この方法は結構費用がかかります(7~8000円程度)。
このようにして遺産の内容を調べた結果、マイナス財産の方が多いのであれば、相続放棄をした方がよいでしょう。
また、たなぼた的な利益を得ることを潔しとしない方や、老親や生活に困っている兄弟姉妹や、亡くなった人の面倒を看てくれた人により多く相続させたいという思いから、自分の相続分を放棄する人もいます。
相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行う必要があります。郵送ですることも可能です。
注意点としましては、相続放棄は、自己のために相続が発生したことを知ってから、「3カ月内」にしなければいけません。例外的に、遺産調査に非常に時間がかかる場合等、3カ月内に相続放棄するか承認をするかの判断ができない場合には、家庭裁判所に申述期間延長申立をすることができます。

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