森羅万象で絶対と言えるものの一つに生命の期限があります。
縁起が良いものでもないですし、避けたい事柄ですが、誰の身にも絶対に訪れるのは確かです。
そうなった場合に自分の財産をどう扱ってもらうかを記すのが遺言書です。
もし遺言が無い場合は相続人全員の協議により、遺産の分配が行われます。
しかし故人の遺産というのはプラスであるとは限らず、その相続を行うと不利になることもあります。
例えば借金がある場合はそのまま引き継がれますので生活が大変になるかもしれません。
もし土地を多く所持していても、固定資産税や修繕費などの維持費もありますので、総合すると大変かもしれません。
そんなときは相続放棄をするというのも一つの手段です。
法律では遺産の相続は、配偶者が半分、残りを子が相続します。
不利となる場合は相続放棄できますが、その権利は各個人にあります。
借金などがあっても返せる見込みがあったり、土地があれば運用できたりするのであれば、思い出の土地や建物などを残すことも可能です。
負債がなくても、財産を分散させることで家業が上手く行かなくなりそうなら、他の家族が辞退し一人にまとめるというときにも使われます。
知り合いに、お父さんが亡くなられたとき、相続放棄をされた方がいます。
彼のお父さんは自営業者でしたが、不況による連鎖倒産で多額の借金を背負い、体を壊して亡くなったのです。
残された家族には多額の借金が残されました。
マイナスの財産でも相続人は放棄しないかぎり借金を背負うことになります。
そこでご家族で相談されて相続放棄を選択されたのでした。
債務があっても、相続人が返済していく方法もありますが、あまりに多額だったための決断だったといいます。
兄弟間の相続争いに巻き込まれたくないという理由で、放棄することもあるそうですが、彼の場合は苦しい決断だったでしょう。
彼はお父さんが亡くなってから3ヶ月以内に裁判所に書類を提出し、家庭裁判所に認めてもらいました。
期間内に申述しなかったら、承認したとみなされて、借金も相続することになってしまうので、注意が必要です。
3ヶ月以内にどうしても決めることができない事情があるときは、申述期間延長を裁判所に申請して延長してもらうこともできます。