親から受け継ぐものとしては金銭や土地や建物といった自分にとって役立つ資産もありますが、借金といった負の遺産も含まれます。つまり、相続するのはプラスの遺産だけではなく、マイナスの遺産もあるということです。
簡単に言うと、借金も相続の対象になるということです。
ありうるケースとしてはいずれかの親が借金を抱えたまま何処かにいなくなってしまうケースです。
元々責任感がないので家族の元を去ってしまうのですが、やはりそのような人が借金を抱えてしまうこともあるようです。
いなくなった家族が戻ってきたかと思うと既に多くの借金を抱えていて、なおかつ程なくして亡くなるという残念なケースも見受けられます。
そのような場合に借金をどのように扱えばよいのでしょうか。
家族ということで責任を感じて親の代の借金を支払う方もおられるかもしれませんが、多くのケースでは支払いたくないというのが本音だと思います。
自分たちの元を去った家族の行動まで責任を負うというのはなんともやるせないものです。
そのような時のために相続放棄という選択肢があります。
家庭裁判所に申し立てを行うことで一切の義務を放棄することができます。
しかし、法律に詳しくない方や自分で行うのに不安を感じる方は専門家に相談するのが最善の選択肢です。
よくあるのは、父が死んだあとに土地を残してくれたので、自分が相続できると喜んだとしても、その土地が借金で買ったもので、相続をした場合は月々の支払いを自分が行わなければいけなくなる、などというケースです。
故人の所有していた不動産や自動車の名義変更など、相続の手続きが済んだあとに、やっぱりやめたという事で簡単にキャンセルすることはできません。
したがって、相続を承認する前に、その状況を冷静に見極めて自分にとって不利な条件なのであれば、相続放棄を行うことも視野に入れなければなりません。
金融機関からの借金だけではなく、税金の滞納などについても注意する必要があります。
また、土地などを相続したあとには、遺産の額によっては相続税がかかってくることになります。平成27年からは基礎控除も縮小されます。
相続税はもちろん相続した遺産の額より大きくなることはないのですが、遺産が不動産のみである場合などは、現金を直接相続するわけではないので、税金を払うのは身銭から出さなければいけなくなるということには注意が必要でしょう。事前に相続税の支払い資金を確保しておかなければ、困ったことになります。
いざとなれば物納すればいいかなどと考える方もおられるかもしれませんが、物納はなかなか簡単には認められません。担保のついている不動産は物納できませんし、接道していない土地もダメです。